保存修復セミナー

　いまや歯科治療において、接着は欠くことのできない技術であり、「接着なくして治療は成り立たない」と言っても過言ではありません。臨床に携わる中で、私が考えることは「より簡単に、より短い時間で、信頼できる」治療術式の模索と確立です。接着修復においても言うに及ばずですが、何をおいても確実な接着を獲得することが大前提でかつ最重要です。これには接着に関する知識の整理が重要であることは言うまでもありませんが、信頼度の高い接着を獲得するスキルを身につけることも重要です。しかし、現場では、マテリアルごとに接着術式、あるいはコンセプトを変化させることは非常に難しく、スタッフに戸惑いや間違いが起きることを誘発し、チームアプローチに乱れが生じる可能性があります。このため、私は信頼性がある、出来るだけシンプルな術式を採用し、医院内で応用するように心がけています。この小さな取り組みを常に行い、患者にストレスを与えずに修復を行うことこそ、好循環をもたらすバタフライエフェクトの発端になると信じています。
　このセミナーでは、私が行ってきた症例を供覧しながら、マテリアルの選択、あるいはそれに付随する接着修復の術式を説明し、その予後について共有し、考えてみたいと思います。